コロナ その時、

(11)2020年5月19日~5月25日 「早すぎ」「やっと」緊急事態宣言を全面解除 (1/2ページ)

 「早すぎ」「やっと」全面解除

 「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を、全国的にクリアしたと判断した」

 安倍晋三首相は5月25日、首相官邸での記者会見で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の全面解除を宣言した。

 そのころ全国の新規感染者が50人を下回り、一時は1万人近くいた入院患者も2000人程度まで減った。政府は21日に大阪、京都、兵庫の3府県で宣言を解除。残る東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県と北海道でも感染拡大は抑えられたとして、諮問委員会の了承を得て、31日の期限を待たず解除に踏み切った。

 欧米諸国のように「ロックダウン(都市封鎖)」を強制できず、外出自粛と休業要請への理解を求めてきた安倍首相は「まさに日本モデルの力を示した」と胸を張った。

 「やっと」「まだ早い」-。国民の受け止め方は分かれたが、経済の悪化が政府内にあった早期解除への慎重論も封じ込んだ形だ。

 安倍首相は「わずか1カ月半で流行をほぼ収束できた」と自己評価したが、それは感染の第2波を防ぎつつ教育や経済活動を再開していくという新たな戦いの始まりにすぎなかった。

 自粛続き生活不安も顕在化

 夏の甲子園も中止/米で黒人差別抗議デモ

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言がやっと全面解除されたが、この間に社会ではさまざまなひずみが顕在化し、生活への不安が表出してきた。

 教育面では学習格差や家庭への支援が問題となる中、政府は5月19日、困窮学生に対し最大20万円の現金給付を閣議決定した。

 欧米などで一般的な「9月入学」の導入論議も浮上した。コロナ禍による休校という弊害を教育システムの改革につなげる発想で、文部科学省は19日、小学新1年生の9月入学を想定した案を関係省庁の事務次官らに提示。吉村洋文大阪府知事など発信力のある首長も導入を促す一方、教育現場では「かえって混乱する」と反発が広がった。

 休校は学生スポーツにも影を落とした。日本高野連が20日、「感染リスクを排除できない」として、夏の風物詩である全国高校野球選手権大会の中止(戦後初)を決断。春の選抜大会に続き、大舞台の夢を奪われた球児が涙にくれた。

 その一方で、緊急事態宣言が全面解除された25日、間髪を入れずにプロ野球が動いた。セ・パ両リーグの公式戦を当面は無観客だが6月19日に開幕させると発表。斉藤惇コミッショナーは「外出できない皆さんにスポーツの力で元気を与えたい」と意気込んだ。

 しかし、国内経済は休業要請の影響などで激しく損耗していた。5月22日に発表された4月の全国百貨店売上高は前年同月比72.8%減で、統計を始めた昭和40年以降で最大の減少率となった。

 日本銀行も22日、中小企業などの資金繰りを支援する30兆円規模の資金供給策を6月に導入することを決定。信金中央金庫は20日、中小企業に出資する基金を設ける計画を表明し、柴田弘之理事長は「時間との勝負だ」と危機感を訴えた。

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