コロナ その時、

(14)2020年6月11日~6月18日 権威主義国家動く、日本は「休戦」し都知事選へ (1/2ページ)

 不安な「夜の街」 政府も対策

 新型コロナウイルス感染の再拡大を恐れつつ経済再開も急ぎたいジレンマの中で東京都が揺れていた。第2波への警戒を呼び掛ける「東京アラート」をひとまず2020年6月11日に解除。翌日から休業要請解除・緩和のロードマップを「ステップ3」に移行し、飲食店の営業時間は午前0時に繰り下げた。

 ホストクラブやキャバクラ、ライブハウスは19日からの再開を認め、飲食店も同日から営業時間短縮の要請を取りやめる方針も決まった。政府も13日、ホストクラブなどをめぐって営業再開に向けたガイドラインを策定し公表した。感染発生の場合、速やかな経路特定のため、利用客の氏名と連絡先を名簿で管理することなどが盛り込まれた。

 しかし、こうした対策が決まる中でも都内で感染は拡大していた。感染者は14日に47人、15日に48人と急増。うち50人以上は日本最大級の歓楽街、歌舞伎町のある新宿エリアのホストクラブなどに関連していた。

 都の小池百合子知事は15日、「新規陽性者は増えているが、感染経路が追えない状況にはない」と述べたものの、先行きの不透明感はぬぐえず、18日に告示された都知事選とともに首都の動向が注目された。

 歌舞伎町に検査 目立つ無症状 新興国の感染急増/国会紛糾/渦中に都知事選

 「夜の街」を中心に新型コロナウイルス感染が再び広がり始めた6月、陽性が確認されたホストクラブの従業員などで無症状者が目立っていた。

 16日には厚生労働省が東京都、大阪府、宮城県で計約8000人を対象に実施した抗体検査の結果を発表。都の抗体保有率は0.1%で、計算上では確認された陽性者の約3倍に上った。感染者のうち相当数は症状が出ないことが改めて分かり、感染者を見つけ出す難しさが浮き彫りになった。

 東京都新宿区は飲食店経営者らの組合などと連絡会を設けることを合意し、最大の歓楽街、歌舞伎町に約250店あるとされるホストクラブの従業員らがPCR検査で協力的になったという。区の担当者は「感染者が出た店のオーナーが従業員全員に検査を受けさせるようになった」と話す。

 大阪府の吉村洋文知事は17日の会見で、提携する大阪大発ベンチャー企業が開発中の新型コロナワクチンの臨床試験(治験)を30日から始めると発表した。人に投与する治験は初めてで、吉村氏は「大阪で第一歩を踏み出す」と語った。

 世界では新興国の感染に歯止めがかからず、感染者数で世界最悪の米国に続くブラジルの政府が12日、死者数が4万1828人になったと発表。死者数でも米国に次ぐ2番目となった。

 コロナ禍への対応に追われる自由・民主主義諸国の苦境を横目に、中国など権威主義国家がその本性をむき出しにしたのはこの頃だ。インド北部ラダック地方の中国との係争地域で15日夜から16日未明にかけて両国軍が衝突し、インド兵20人が死亡。両国の衝突で死者が出るのは1975年以来、約45年ぶりだった。

 北朝鮮が16日、南西部・開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を爆破し、半島情勢に緊張が走った。同国はこれに先立つ13日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が談話を発表し、韓国の脱北者団体による北朝鮮体制批判ビラ散布への報復措置として同事務所の破壊を予告していた。

 新型コロナ対策を盛り込んだ令和2年度第2次補正予算が12日に成立したが、具体的な使途を定めない予備費への10兆円計上をめぐり、国会が紛糾した。

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