Bizプレミアム

経済低迷でも好況の不動産市場 予想に反し住宅需要・不動産投資が旺盛なワケ (2/4ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

「これ以上金利は下がらない」

 「賃料収入で言えば、不動産市場でコロナの影響を受けた順に、ホテル、商業施設、オフィス、賃貸住宅、物流施設となります。人の流れが止まったことでホテルや商業施設が最もダメージを受けています」

 コロナ禍では法人需要を中心に賃貸需要に影響が出ているが、住宅の購入熱は強まっている。住宅需要を後押ししている要因が最低水準の住宅ローン金利と、住宅ローンの減税などの支援策だ。金融機関の利下げ競争は過熱しており、ネット銀行には変動金利0.38%という超低水準の金利も。住宅ローンを組みやすい環境にあることは確かといえる。

 住宅ローン減税は所得が3000万円以下の人が対象で、年末時点のローン残高の1%が所得税から10年間控除される。消費税増税対策として3年間長く控除を受けられる特例措置が講じられていたが、2021年度税制改正大綱では、コロナ禍を踏まえ特例の延長が目玉施策として盛り込まれた。

 物件を購入すれば住宅ローンの返済額が毎月の賃貸料よりも安くなる現象も。さらに、住宅ローンで変動金利型を選択すれば、住宅ローン減税の控除額を下回ることにもなる。あくまで現時点で数字だけを比較すれば、ローンを組むことでむしろ利益が出ているともいえるのだ。

 税制改正大綱では、住宅ローン減税を受けるための面積要件も緩和されることになった。現在は床面積50平方メートル以上というのが要件だが、独身や「DINKS」といわれる共働きで子供を持たない夫婦の家庭も増えていることから、価値観の多様化を反映して40平方メートル以上となったのだ。都心部などの40平方メートル前後の物件の購入を考えていた人にとっては朗報で、「控除の対象に50平方メートル未満の1LDKの物件も入ってきますので、これまでよりも幅広い層が恩恵を受けることになります」(佐久間さん)。

 ただ、超低金利環境下で1%の控除額がローン金利を上回り、利益が出る「逆ザヤ」が生じている問題については改めて議論するとしており、控除額の基準については、今後見直される可能性もある。佐久間さんは「住宅ローン金利が今後、大幅に下がる可能性は低く、金利主導の不動産価格上昇は見込めません。富裕層向けの『億ション』は別ですが、数千万円台のマンションの価格は高原状態にあるといえます」と分析する。こうした状況から、“今”が住宅購入の好機ととらえている人も少なくないようだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus