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経済低迷でも好況の不動産市場 予想に反し住宅需要・不動産投資が旺盛なワケ (3/4ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

郊外化・地方化が進むわけではない

 コロナ禍でテレワークが一気に普及。昨年はいわゆる“住みたい街”の勢力図にも異変が起きた。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」(ライフルホームズ)の「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」で1位に躍り出たのは都心から電車約1時間の「本厚木」(神奈川県厚木市)。テレワークによって通勤から解放されたことで都心を“脱出”し、子育ての環境が整った自然豊かな街が脚光を浴びているとして話題になった。しかし、佐久間さんは「郊外化」が進むとの見方には懐疑的だ。

 「テレワークの普及によって通勤のデメリットがなくなり、郊外の需要はどちらかと言えば増えるでしょうが、マジョリティー(多数者)はそこまで大きく変わらないと思います。在宅勤務で仕事を完結できる人は少なく、オフィスまで通勤したり、自宅で働いたりという『ハイブリッド』な働き方になるとみられます。多くのサラリーマンは月に何度か、週に何度かは少なくともオフィスに行かなければいけません。これから本格的な人口減少を迎える中、長期のトレンドでは郊外化、地方化が進む可能性は低いと考えています」

 出社しない完全なリモートワークが浸透すれば、別荘地の長野県軽井沢町に定住するという人や、あるいは沖縄のリゾート地に移住したと考える人も出てくるだろう。ワークとバケーションを組み合わせた「ワーケーション」も注目を集めている。だが、佐久間さんは「移住してみたいというのと、実際に移住するというのは違い、意欲・関心と行動との間には大きなハードルがあります。コロナ禍ではテレワークのデメリットも指摘されはじめ、社員が集まれるオフィスの重要性も改めて認識されています」と指摘する。それほど目立った郊外への人口移動も起きていないという。

 サラリーマンにとって、テレワークの普及で通勤がなくなったのは大きなメリットだが、他方で、社内でのコミュニケーション、新入社員らのOJT(職場内訓練)、企業文化の醸成といった面では課題もあるという。

 「今回のテレワークの広がりを壮大な社会実験ととらえれば、OJTはやはりオフィスで行った方がよく、ビデオ会議で言語情報、視覚情報は送れますが、場を、空気を共有しなければ伝わらない情報も依然として多くあります。生産性を測ることは難しいですが、平均すると、テレワークによって生産性は下がっているとみられます」

 主要機能を地方に移転させる方針を打ち出す企業も相次いでいるが、オフィスが集まる東京・大手町、丸の内やIT企業が集まる渋谷の需要は下がらず、「都心部のオフィス需要は短中期的にはマイナス圧力もあるかもしれませんが、地方や郊外移転に業務上のメリットや強い思いがある会社でない限り、地方化、郊外化は進まないとみられます」(佐久間さん)。オフィス面積の縮小につながる「構造的な変化」も、どの程度のものになるのか分からないのが現状だ。

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