海外投資家の目にも魅力的な市場
日本経済はコロナ禍で深刻な打撃を受けており、特に活況を呈する東京の不動産市場に対しては「不動産バブル」「局地バブル」との声もあるが、不動産価格はしばらく「高原状態」が続くというのが佐久間さんの分析だ。
気になるのは、機関投資家の動き。不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL)の調査によると、東京の商業用不動産投資額は2020年1~9月期で193億ドル(約2兆円)。前年同期の4位から一気に首位に躍り出た。3四半期を通じて東京が首位となるのは、2008年のリーマン・ショック以降では初というのも特筆すべきだろう。インターネット販売の伸長などを背景に、物流施設や賃貸マンションの稼働率は安定していることから、機関投資家の目に魅力的な市場と映っているようだ。
佐久間さんは「海外の投資家の間では以前から、アジアの不動産に投資したいというニーズがありました。その場合、まず対象に上がるのが、不動産市場が成熟し、政治や経済も安定している日本とオーストラリアです。投資家はポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)で運用しています。投資先の不動産の割合を増やす必要があり、コロナ後も比較的安定している日本に資金が流入したのです。幸いだったのは、金融市場の流動性が保たれたことです」と指摘している。