オーダーブックで読み解く外為市場

米国FOMC、米独仏のGDP等に注目

 先週の外国為替市場はバイデン新大統領の就任式が行われ、大きな混乱には至らず政権交代が行われたことで新政権への期待感等により株式市場が上昇し、市場のリスク許容度が拡大したことやイタリアの政局不安が一段落したことから、米ドルや円が弱いのに対し、前週に弱い推移となっていたユーロが反発する動きとなりました。

 また、前週にイングランド銀行(BOE)がマイナス金利に否定的な見解を示したことで底堅い推移となっていたポンドも引き続き底堅い推移を続けています。

 今週は米国で連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されています。これまでの関係者のコメント等からは今回の会合における政策変更の可能性は低いと考えられますが、今後の金融政策の手がかりを求めて声明文やパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まり、市場が過敏に反応する可能性もあるため、注意したいです。

 また、今週は米国、ドイツ、フランス等でGDPの速報値が発表されます。昨今の経済指標の結果に対する市場の反応は限定的となることが多いですが、市場予想との乖離が大きいと市場が動揺する可能性も考えられそうです。

ドル円は均衡が上下のいずれに崩れるかに注目

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週もドル円は1米ドル=103円台後半を中心に方向感の鈍い推移が続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が6割まで上昇する中、売買のいずれも、先週の価格レンジ付近に集中しており、力が均衡するような状態が続いています。

 このため、今週も売買の力の均衡が続き、鈍い動きが続く可能性も考えられますが、均衡が崩れると、苦しくなったポジションの損切り(損失拡大を防ぐための決済取引)が増え、方向感が出てくる可能性も考えらえそうです。

ユーロドルは底堅い推移が続くかに注目

 先週のユーロドルは反発に転じ、1ユーロ=1.22米ドルに迫る動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジション比率の偏りはそれほど大きくありませんが、上昇により含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。

ポンドドルは含み損を抱えた買いポジションにも少し注意

 先週のポンドドルは序盤こそ底堅い動きが続き、一時1ポンド=1.37米ドル台に乗せる動きとなりましたが、週末には失速し、伸び悩む動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売買比率の偏りは少ない中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが多いものの、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションも少し増えており、上昇した水準ではこれらのポジションの安堵の利益確定売りが上値を圧迫、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下落を後押しする可能性にも少し注意が必要となりそうです。

【OANDAのオーダーブック】

オープンポジションはここに注目!

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目!

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

OANDA Japan株式会社

第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号

加入協会等:一般社団法人 金融先物取引業協会 日本証券業協会 日本投資者保護基金

OANDA FXラボ編集部
OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら

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