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EUがワクチン囲い込みへ 欧州委員長、「輸出規制」で供給削減に対抗

 【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は26日、世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会議で、新型コロナウイルスのワクチンでEUが輸出を規制する方針を示した。ワクチン供給がひっ迫する中、域内での製造品の流出に歯止めをかける構えだ。

 フォンデアライエン氏は「EUは最初のワクチン製造のために、巨額の投資をした。企業は責務を果たさねばならない」として、ワクチン輸出を透明化するシステムを設けると述べた。米製薬大手ファイザー、英製薬大手アストラゼネカはベルギーにワクチン生産拠点を持っており、輸出を届け出制とすることで、EUが契約分のワクチンを確保する狙いがある。アストラゼネカが先週、3月までのEUへの供給量を当初予定の4割程度にすると通告したのを受け、対抗措置に出たものだ。

 ドイツのシュパーン保健相も「輸出を認可制にするのはよいこと。EU内での製造後、どのワクチンが輸出されるのかを監視できる」とフォンデアライエン氏の提案を支持した。

 これに対し、英国のジョンソン首相は記者会見で「疫病禍では、国際的協力が必要。国境に制限を設けるべきではない」と述べ、EUの動きをけん制した。英国は、ファイザーのベルギー工場からワクチンを輸入しており、EUが輸出管理を発動すれば、影響を受ける恐れがあるためだ。

 アストラゼネカの供給削減に対して、欧州委は不満を表明し、供給体制を明らかにするよう求めている。ファイザーは今月15日、ワクチン増産に向けてベルギー工場の体制改変の必要があるとして、一時的な供給削減を表明していた。

 EUでは現在、ファイザーのほか、米バイオ企業モデルナのワクチン接種を行っている。アストラゼネカのワクチンは今月末に、域内販売を承認する計画。

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