防災バッグ「常備」は3割弱
各地に甚大な被害をもたらした2019年10月の台風19号の際は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでパンやおにぎり、カップラーメンなどが売り切れになった。
板橋区の藤原課長は「台風19号の時には、『何か食べられるものを』ということでスーパーの(陳列)棚からポテチもなくなりました。ポテチならある程度、家庭で保管しておけます。災害がなくても、おやつにするなり、食材に使うなりできます」と語る。食べた分を常に買い足すようにしておけば、非常食として一定量の備蓄ができ、賞味期限切れの心配も少ない。
ポテチに限らず、備えあれば憂いなしだが、サントリー食品インターナショナルが昨年1月に実施した「防災バッグ」(非常用持ち出し袋)に関する実態調査によると、自宅に防災バッグを常備している人は28.9%にとどまり、「常備していない」が66.3%と3分の2を占めた。
防災バッグを「定期的に点検している」人はわずか13.4%。4人に1人が「点検や入れ替えはしていない」(25.0%)と回答した。防災バッグの中身については、3人に1人(33.0%)が期限切れのアイテムがあったとしており、多くの人が非常食を買っても気付いたときには賞味期限切れという事態を経験していることが分かる。
防災バッグに入れるものは、半数以上の人が「なるべく自分が日常で使っている、慣れ親しんだものを優先して選びたい」(53.9%)としており、災害後も「被災前に利用していた飲食物を口にしたい」と答えた人は61.6%に上った。理由は「慣れ親しんだものがあると安心できるから」。その意味では、日常の慣れ親しんだ食品を食べながら備えるローリングストックが災害時の「安心」につながる可能性がある。