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需要が急増中、コロナウイルスから子どもを守る注目のアプリ (1/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 いまだ収束の見込みが立たない新型コロナウイルス。2度目の緊急事態宣言が発令されたが、今回は一斉休校を行わない方針だ。そうなると、保護者が子どもの感染を心配するのは当然だろう。

 現在、小中学校では毎日、生徒一人ひとりの検温を行い、体調に異常がないかを確認。その結果を手作業で紙に記録をしている。時間がかかる上に教師にとって大きな負担になっている状態だ。

 その負担を減らすために開発されたアプリが、いま全国で注目を集めている。医療相談アプリの『LEBER for School(リーバー・フォー・スクール)』だ。

 どういったアプリなのか、仕組みを説明しよう。まず毎朝、家庭で子どもの体温を計測してスマホアプリに入力する。結果は教師と保護者が共有できるようになっており、子どもの状況を随時把握することが可能だ。自動的にグラフ化される機能が搭載されており、日々の変化も一覧できる。

 このアプリを使えば、教師や保護者の作業を大幅に削減できるとあって導入する学校が急増している。

 昨年11月、茨城県かすみがうら市は、市内の小中学校に一斉に導入を決めた。その一つ、市立下稲吉小学校の松信登校長に現状を聞いてみた。

 「以前は、家庭で記入した健康観察表を児童が毎朝学校に持参していました。担任教師は朝早く出勤をしなければならず、児童も行列を作って提出するような状態でした。そのため教育委員会から紹介されたLEBER for Schoolの導入に踏み切ったのです。保護者の方からは、使い勝手が良い、もう紙に書く必要がないので助かった、と大変好評をいただいていますし、教職員の負担も減り、授業に集中できるようになりました。教育現場に非常に役立つアプリだと思います」と利便性を話してくれた。

 「当校はスクールバスで通学する生徒が多いのですが、コロナ感染を予防するため、1度の乗車人数を減らし、ピストン輸送を行っています。第1便が学校に到着するのが朝7時30分。校舎に入る前に検温しており、生徒も教職員の大変でした。アプリを使用するようになってからは余裕ができ、教職員の時間外勤務も解消されました。保護者の皆さんもきちんと入力していただいています。パソコンで生徒の体温や体調が把握できるようになり、大いに助かっています」と話してくれたのは、市立霞ヶ浦中学校の塚谷吉行校長。

 アプリ上で完結しコスト削減、6カ国語に対応

 教育現場で活躍するこのアプリ、開発したのは株式会社リーバーという医療ベンチャー企業である。代表取締役の伊藤俊一郎さんに開発の経緯をうかがった。伊藤さんは心臓外科の元専門医であり、現在は数多くのクリニックや老人ホームを運営している。

 「コロナウイルス感染対策として、老人ホームの入所者や職員に毎日体温を測るようにとの通達が厚生労働省からありました。その時、これは学校や幼稚園などの教育現場でも必要になると思い、開発に着手したのです。子どもの体温はどの学校でも紙に手書きをしている状況でしたので、もっと便利にできないかと考えてアプリという手段を選びました」(伊藤俊一郎さん、以下同)

 2020年6月から全国の小中学校への導入が始まり、現在約600校がLEBER for Schoolを利用している。

 「アプリには検温時刻を設定できる機能があり、毎朝通知が届く仕組みになっています。体温を入力するまで何度も通知が届きますので忘れずに計測できます。また、体温をグラフ化できるので、保護者にも担任の先生にも体調の変化が一目で分かりやすくなっています。さらに通学している学校の感染症の流行状況もリアルタイムで把握することが可能です」

 アプリ上で完結するため、紙に印刷する必要がなく、コスト削減にもつながっているという。

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