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味のついてない水飲めますか? 被災体験で学んだ「防災収納」のコツ (1/2ページ)

香村薫
香村薫

 筆者は片づけのプロです。日々お客様のお宅で片づけサポートをしていると防災グッズの質問がよく出てきます。「これだけあれば大丈夫ですか?」という問いかけに自信を持って回答できるようになるために防災士の資格を取り、防災士×片づけのプロとして防災収納を日々研究しています。

 2018年3月には「7日間の電気・ガスを止めて過ごしてみる」という“被災体験”を突然実施。今まで意識していなかった問題がいくつも上がってきました。

 今回は3月の防災月間に向けて、防災士であり片づけのプロでもある筆者が、疑似的な「被災体験」から学んだ家族でできる防災収納についてお伝えしたいと思います。

1.家のどこに防災用品を置けば良いか 「分散」が安心

 「防災用品の家のどこに収納すればよいでしょうか」という質問をよく頂きます。

 筆者からの提案は、もし家の中の収納に余裕があるなら「玄関・パントリー・2階のウォークインクローゼット・納戸・車」に分散して収納することをオススメします。

 分散収納することで、例えば「1階は浸水したけど2階で生活できる」といったケースにも対応できますし、各収納を大きく確保する必要もないので備蓄しやすくなります。

 一方、収納に余裕がないお宅の場合は、1箇所にまとめて置くことになるのですが、そこで考えて頂きたいのが「自宅で起こりえる災害」です。水害や土砂崩れ・津波など、ある程度予測できる自然災害が発生する可能性があるのであれば、「自宅に備蓄」よりも命を守るために逃げるための避難用防災グッズの中身を熟考されることをオススメします。

 その場合は「防災グッズを持って走れるかどうか」というバッグの重さを基準に中身を増減させると良いですね。避難リュックの重さと内容の目安については、本連載の以前の記事「避難リュックの中身はそれで大丈夫?」をご覧ください。

 車をお持ちの方は、車の中にあらかじめ衣類や携帯トイレ、缶詰といった防災グッズの一部を入れておくと非常に便利です。例えば雪の影響で立ち往生するなどといったアクシデントに見舞われたときにこれらがあると助かりますね。

2.食品の備蓄 冷蔵庫は24時間で外気と同じ温度に

 「食品はどれぐらい備蓄しておけばいいですか」という質問もよくいただきます。

 農林水産省によると、大きな災害が発生したライフラインの復旧は7日目以降になる可能性があります。つまり7日間の食品備蓄が必要になるのですが、このうち最初の3日間は冷蔵庫の中の食べ物を食べ進めるのが良いでしょう。

 我が家で被災体験を実施したのは3月でしたが、冷蔵エリアは停電の5時間後から冷えを感じなくなり、24時間後には完全に外気と同じ温度になります。一方冷凍エリアは3日間冷たさをキープしていました。

 よって、停電が発生したら、冷蔵エリアの食べ物を急いで冷凍エリアに移し替えておくようにしましょう。

 4日目~7日目は常温の食品を食べて過ごします。これらは、可能であれば、パントリーに収納し、「ローリングストック」で回していくとよいですね。ローリングストックとは、日常で消費しながら、食べた分だけ買い足し、災害時に備える方法です。パントリーが無い我が家は和室の押し入れに収納しています。

 我が家が備蓄スペースとして押し入れを選んだ理由は3つあります。

  • 子供だけで在宅中に被災しても食べ物を手に取れる高さであること
  • 上からモノが落ちてきにくい場所として押し入れの下段が我が家では最適な場所だったこと
  • 子供たちが普段から滞在率の高い和室であれば常に食糧があることを知っていてくれる

 常温保存している食品はぜひ家族一緒に実際に食べてみて味が合うかどうかを確かめてくださいね。家族みんなが好き嫌いなく食べる食品なのかどうか? を知るのとともに、子供たちお父さんや子供たちだけでも作れるように経験しておくのがポイントです。

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