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意外と知られてない? 世界初の高速鉄道に影響与えた小田急ロマンスカー (4/4ページ)

SankeiBiz編集部
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 「走る喫茶室」の歴史に終止符

 ロマンスカーミュージアムには「ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE」というカフェも併設される。

 カフェと言えば、ロマンスカーの「走る喫茶室」。SE車には喫茶カウンターも備えられ、「スチュワーデス」と呼ばれたアテンダントが各座席まで飲料を運ぶシートサービスを行っていた。その歴史は1949年、特急用車両1910形の導入時に「走る喫茶室」として飲料などの注文を取ったことに始まる。その後、ワゴンを使った車内販売へと変わり、ロマンスカー利用者に親しまれたが、ダイヤ改正前日の今月12日で終了。実はコロナ禍の緊急事態宣言発令で1月以降、車内販売は中止していたため、再開されることなく、ひっそりと約70年の歴史に幕が下ろされた。

 「長い間、ロマンスカーの顔としてあり続けることができたのは、みなさまのおかげでございます」

 車内販売終了を記念して製作されたポストカードには、こう書かれていた。

 ロマンスカーに乗ってミュージアムへ

 ロマンスカーミュージアムには1927年の小田急(当時は小田原急行鉄道)開業時に活躍した通勤型のモハ1形も展示されるほか、ミュージアム2階には沿線風景を再現した「ジオラマパーク」や子供たちが楽しめる「キッズロマンスカーパーク」も設けられる。コンセプトは“子ども”も“大人”も楽しめる鉄道ミュージアムだ。

 入場料は中学生以上の大人900円、子供(小学生)は400円、3歳以上の幼児は100円。感染拡大防止の観点から当面の間、入館は予約制となる。予約に関する情報は今月26日に告知されるという。

 小田急はロマンスカーミュージアムについて「新しく誕生する街のシンボルとして、さらなる街の賑わい創出に貢献したい」と意気込む。

 展示の目玉となる初代ロマンスカーのSE車は、長らく海老名検車区構内に保存されてきた。「ファミリー鉄道展」などのイベント時を除き原則非公開だったが、ロマンスカーミュージアムの開館によって再び日の目を見ることになる。

 登場時のデザインは現代からも見ても斬新で、なるほど新幹線のルーツというのも頷ける。SE車は途中、前面のデザインや塗装が一部変更され、編成も短くなった(SSEともいわれる)。その“晩年”の姿も凛々(りり)しく、趣きがある。こうしたデザインの変化、展望席や連接台車の有無もまた、ロマンスカーの歴史だ。

 ロマンスカーミュージアムの最寄り駅となる海老名には、一部の特急ロマンスカーが停車。バラエティに富む現役のロマンスカーに乗って、名車ぞろいの退役ロマンスカーに会いに行くというのも面白そうだ。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。

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