宇宙開発のボラティリティ

網で捕ってモリで刺す? 最先端スペースデブリ除去プロジェクトの独創性 (1/3ページ)

鈴木喜生
鈴木喜生

 いま地球の周回軌道上には驚くべき数のスペースデブリ(宇宙ゴミ)があり、その数は急速に増えています。2021年1月の時点では、10cm以上の大きさのものだけでも3万4000個のデブリが軌道上にあり、追跡できない微小なものまで含めると、現在のデブリ総数は1億3000万個を超えると予想されています。

 地球の低軌道にあるデブリは秒速7~8kmの超高速で飛翔しているため、宇宙機がそれと衝突すれば甚大なダメージを受けることになります。わずか数マイクロメートルの塗装片などが、かつてハッブル宇宙望遠鏡のソーラーパネルに穴を開け、スペースシャトルやISS(国際宇宙ステーション)の窓にひび割れを発生させました。

 また、近年では人工衛星の数も急増しており、2009年には史上はじめて人工衛星どうしの衝突が発生しています。この事故によって米ロの人工衛星が破壊され、さらなるデブリを生みましたが、同様のニアミスは2020年にも数件発生しています。

 現在、こうしたスペースデブリへの対策が急がれています。では、すでに拡散してしまったスペースデブリをどのように除去するのでしょう? ここではスペースデブリの現状と、その対処事例をご紹介していきます。

激増するスペースデブリ

 まず実感していただきたいのはスペースデブリの数の多さです。米国防総省の宇宙監視ネットワーク(SSN)では、軌道上にある物体のうち2万2000個を追跡し、カタログ化していますが、そのデータをまとめたものが下のグラフです。これを見れば軌道上を航行する物体が、近年いかに急速に増えているかが理解できます。

【地球周回軌道上にある物体の数】

 また、SSNのデータを利用して構成されているサイト「Celes Trak」では、これらの物体の位置を3D動画によってリアルタイムで追跡でき、特定の人工衛星やデブリを検索することもできます。

【軌道上の物体が追跡できるサイト「Celes Trak」

  • トップページにある「Launch Orbit Visualization」をクリック
  • 地球を拡大すれば、軌道上の物体が動いていることが分かる
  • 人工衛星のアイコン(画面左)をクリックするとカタログリストが表示される

 スペースデブリは宇宙開発が開始されると同時に問題視され、宇宙開発におけるもっとも重要な課題とされてきましたが、半世紀以上経過したいま、もはや手が付けられないほどに増加しています。しかし、近年になって、やっとそれを排除する方法が実証化されてきています。

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