ヘルスケア

コロナ自宅療養4倍 1カ月で急増、福祉施設は3.7倍に (1/2ページ)

 全国的に感染再拡大が鮮明になった4月以降、新型コロナウイルス患者のうち宿泊施設や自宅、福祉施設などで療養する人が急増している。入院できないまま自宅や高齢者施設で死亡するケースも相次いでおり、訪問診療の重要度が増している。

 厚生労働省の集計では、5日時点の全国の療養者数は宿泊施設1万170人、自宅2万8823人、福祉施設342人。4月7日時点に比べ、宿泊は1・8倍、自宅は4倍、福祉は3・7倍に増えている。

 東京都は今月7日時点の自宅療養者が2157人に上り、4月7日時点(611人)の3・5倍に増加。大阪府の自宅療養者は7日時点で1万3千人を超え、兵庫県でも6日に入院調整中の感染者、自宅療養者がいずれも過去最多になった。両府県では自宅で容体が急変し、亡くなる感染者も日増しに増えている。

 大阪府門真市と神戸市の高齢者施設ではいずれも4月中旬以降、大規模なクラスター(感染者集団)が発生。門真市の施設では入所者13人、神戸市の施設では入所者25人が死亡した。神戸市の死者のうち23人は症状悪化後も入院先が見つからず、施設内で療養していたという。

訪問診療、負担は限界…重症化も「受け入れ先見つからない」

  新型コロナウイルスの「第4波」で、入院できない患者の自宅や高齢者施設を回る訪問診療の現場に重い負担がのしかかっている。感染力の強い変異株の流行もあり、重症化しても受け入れ先が見つからず、施設などで治療を余儀なくされるケースも目立つ。認知症などで入院が難しい高齢患者らの在宅死を防ぐとりでとしても奔走する。

 「現場はすでに、限界にきている」。医療法人社団「日翔会・生野愛和病院」(大阪市)の渡辺克哉医師(46)は、第4波に直面する地域の医療提供体制の厳しさを痛感している。

 大阪府内で高齢者施設にいるコロナ感染患者の訪問診療に追われる日々。7日現在、12~13人の担当患者の約半数が中等症以上の酸素吸入が必要な状態で、重症に近い患者もいる。

 渡辺氏は「1分間に10リットル以上の酸素吸入が必要なケースもあった。病院だったら、いつ人工呼吸器を装着してもおかしくない状態だ。それでも、受け入れてくれる病院が見つからない」と訴える。

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