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不動産シェアって実際どうなの? 不動産小口投資の本当のうまみ (2/3ページ)

井上信一
井上信一

REIT(不動産投資信託)との違いは?

 個人で投資するのが難しい大型物件や高額物件、あるいは希少な事業物件等に少額から投資できるのが、現物不動産投資に対する不動産小口化商品の強みです。しかし、こうした物件に少額分散投資できる商品としては、不動産投資信託(REIT)もあります。両者はしくみこそ似ていますが商品性は全く異なります。

 不動産小口化商品を検討する場合はREITとの違いも抑えておくべきでしょう。

 まず、両者で一番異なる点は「資産としての価値」の違いといえます。不動産小口化商品は文字通り現物不動産を分割して所有するので、原則としてその価値は「不動産」です。一方、REITは投資信託商品という有価証券であり、資産価値は「金融商品」です。この違いは、商品を規制する法律や監督官庁の違い(不動産は国交省、金融商品は金融庁)となり、定期的に受け取る分配金や売却時の税制の違いとして影響します。

 また、上場されているREITは証券取引市場等で売買できますので、流動性や換金性に優れる反面、景気等や売り買いの受給関係等の影響で価格が大きく変動することもあります。不動産小口化商品は不動産なので、流動性や換金性は劣るものの、有価証券のような価格変動は起こりづらいといえます。

 さらに、REITは大規模に資金を集めて複数の不動産等に分散投資するので、投資先が見えづらい面もあり、「〇〇区にある△△オフィスビルを小口所有している」と認識できる不動産小口化商品とは大きく異なります。

不動産小口化商品を選ぶ際のポイント

 これまで不動産小口化商品をひとくくりで述べてきましたが、実は規定する法律やしくみにより3つに分けられます。

 法律別では、不動産特定共同事業法(不特法)を根拠として事業者と投資家とで組合契約を結んで共同事業形式で互いに出資する「不特法商品」と、信託法等を根拠として事業者・信託銀行・不特定多数の投資家とで信託契約を結び事業を行う「信託法商品」があります。

 さらに「不特法商品」は共同事業(組合)の構成上、投資家も不動産の所有者となる「任意組合型」と、投資家が不動産の登記簿に登記されない「匿名組合型」があります。

 事業者数や商品数でいうと、概ね「匿名組合型」、次に「任意組合型」の「不特法商品」が多く、「信託法商品」はまだ僅かです。これら3つの不動産小口化商品では微妙な違いがありますが、重視するポイントに応じて選別する必要があります。

▼最も金融商品に近い「匿名組合型」

 まず、利回りや流動性・換金性を重視するのであれば、これらの中で最も金融商品に近い「匿名組合型」を選ぶことになります。先に述べたクラウドファンディングによる出資方法も、簡素なしくみの「匿名組合型」ならではで、一口あたり出資額も数万円と最も少額で済み、運用期間も比較的短めです。

 また、このスキームだけは、他と異なり、賃料として受け取る収益(分配金)にかかる税金が個人年金保険等と同じ雑所得の対象で、一般の不動産投資における賃料収入に係る不動産所得とはなりません。不動産の所有者となるわけでないので取得等にかかる税金負担がなく、他に手数料等として必要経費に計上する出費がなければ、事業者から振り込まれる分配金がそのまま課税対象となり、とてもシンプルです。なお、この分配金は20.42%が源泉徴収されているので、必要に応じて確定申告をすることになります。

 私感ですが、「匿名組合型」はより金融商品に近いものの、金融庁の管轄商品ではないため、金融商品課税されるREITと比べ税制面での魅力は薄く、利回りも流動性・換金性も本家の金融商品であるREITに軍配があがると考えます。とはいえ、希少価値の高い物件に投資できる商品であれば、考え方によってはこれらのデメリットを覆す有力な選択肢になり得ます。

▼「信託法商品」は不動産取得税が非課税

 次に、「匿名組合型」と概ね対局位置にあるのが「信託法商品」です。このスキームは事業に関わるプレイヤーが多い分、報酬も高めなので利回りは3つの中で最も低くなります。また、商品にもよりますが流動性や換金性において融通の利かないケースが少なくはありません。その代わり、不動産取得税が非課税であり、かつ登録免許税も「任意組合型」のスキームより格段に安く、信託商品は財産評価方法が通達により明文化されているため、特に相続対策には他のスキームに比べて絶大な安定感があります。

 相対的に利回りが劣るとはいえ、商品により異なるので、より高めの利回りが期待できる商品であれば税制面においても、最も安心できるスキームといえます。

▼「任意組合型」にも一定の相続対策効果

 最後に「任意組合型」はこれら2つの中間的な位置づけとなります。すなわち、「信託法商品」と同様、出資分に応じた不動産の所有者となるので、一定の相続対策にも有効であり、「信託法商品」よりは高い利回りを期待でき、流動性や換金性の融通も効きます。

 ただし、小口持ち分は不動産として評価されるのが現時点での一般的な解釈ですが、不特法の対象となる財産の評価方法には明文化された規定がないため、将来的に通達の変更があって、評価方法が変更されるかもしれない不安定さはあります。ですが、不動産小口商品の性格を良くも悪くも反映しているのが「任意組合型」スキームといえるでしょう。

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