クルマ三昧

「ロータリーエンジン」は終わっていない (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 ロータリーエンジンを知らない世代が増えているという。それも道理で、ロータリーエンジンが新車に搭載されたのは、2012年に生産が終了した「RX-8」までだ。あれからすでに9年の歳月が流れた。免許証を取得したばかりの若者には、耳馴染みのないエンジンに違いない。

 “撃速”スポーツカーの心臓部

 ロータリーエンジンは、ドイツのF・ヴァンケル技師が発明した。その後、今はなきドイツの自動車メーカー「NSU」が開発を続けていたが、製品化には辿り着けず、マツダが開発の権利を取得。それ以来、世界でマツダ1社だけが開発・販売を手掛けてきた稀有なユニットなのである。

 ロータリーエンジンは、エンジン本体の中で三角形のローターが回転しながら動力を生み出すのが特徴だ。ピストンシリンダーが上下動するレシプロエンジンとは機構がまったく異なる。ロータリーが円運動をそのまま駆動輪に伝えて回転させているのに対し、レシプロは直線運動を回転運動に変換させている。

 言葉にすればロータリーエンジンが理にかなっているような気がする。実際にロータリーエンジンは、レシプロの約半分の排気量で同等のパワーを発揮する。ユニット自体は驚くほどコンパクトであり、その特徴を生かしてスポーツカーに搭載されていた。

 マツダの名車「コスモスポーツ」や一世を風靡した「サバンナ」に搭載。“撃速”スポーツカーの心臓部として君臨した。モータースポーツでの排気量換算係数は1.7。つまり、排気量を1.7倍した大排気量クラスとの戦いを強いられた。それほど効率が良かったのだ。

 軽量コンパクトであったため汎用性も高く、水素燃料でも回る。レンジエスクテンダー(航続距離延長装置)としての活用も期待されている。だが、膨大な開発費が必要な内燃機関であり、パテントを持つマツダ1社のみの開発では進化の歩みが遅い。厳しい環境基準や懸案の燃費を改善させることができず、ついに新車への採用が途絶えたという名機である。

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