都条例めぐりアニメフェア分裂 性描写規制、和解遠く

2012.3.25 09:00

 日本の観光資源の目玉として期待されるアニメや漫画を集めたイベント「東京国際アニメフェア」(実行委員長・石原慎太郎東京都知事)が24日、東京・有明の東京ビッグサイトで一般向けに公開された。過激な性描写の漫画などの販売規制を強化し、昨年4月施行された「改正東京都青少年健全育成条例」に反対する出版社などは、31日から別のイベント「アニメコンテンツエキスポ」を開く。昨年は東日本大震災で双方とも中止され、今回が初めての分裂開催。両者とも歩み寄りの意思は見せるものの、来年以降の開催方式は未定だ。(今村義丈)

 会場には、アニメ制作会社のディスプレーや、キャラクターグッズを販売するメーカーのブースが並ぶ。来場者はグッズを購入したり、コスプレ姿のスタッフと写真を撮ったりしながら歩く。

 初日の入場者4割減

 各ブースには人だかりができていたが「客数が思ったほどではない」「子供向けがちょっと多すぎるのでは」と、分裂開催の影響を指摘する声が聞かれる。

 初日の入場者は3万1391人と前回の6割にとどまった。出展者数も217で、前回の244には及ばない。約60社が参加を表明している「エキスポ」が人気作品を前面に出し、イベント性の強い方向を打ち出しているのに対し、見本市の性格が強く、今回は中国からの出展が約4分の1にのぼる。

 分裂開催の発端となった条例は、論争の末に施行されたものの現在まで新基準の適用は1件もない。

 都関係者は「出版側で自然と自主規制的なものが働いているのかも」と話すが、新基準の適用には都青少年健全育成審議会の「専門委員」の意見を聞く仕組みを導入。人選は新基準に否定的な社も加盟する日本雑誌協会などが進め、出版社出身者が任命されている。

 しかし、エキスポを主導する角川書店の関係者は「拡大解釈への懸念が払拭できない以上、フェア参加はやむなく見送った」と話す。

 来年の開催方式未定

 フェア側は「双方合わせ2年前の動員数約13万人を超えればいい」。角川書店関係者も「目的は同じ。いつまでもすみ分けするのがいいと思ってはいない」と、歩み寄りの意向も示唆するが、来年以降の開催方式はまだ決まっていない。フェアを訪れた品川区の男性会社員(26)は「条例改正? 影響は特に感じない。楽しい作品やイベントが出てくればいい」と話した。

 改正東京都青少年健全育成条例 18歳未満への販売禁止を課す「不健全図書」の対象を性器などの露骨な描写とした「旧基準」に強姦(ごうかん)など法令に触れる性行為や近親者間の性交の「不当な賛美または誇張」とする新基準を追加した。平成23年4月施行、販売規制部分は7月施行。

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