【局アナnet】文人・画人を魅了 九十九谷の絶景 沢野有希

2016.12.24 15:00

 低山の印象が強い千葉県で、秋から冬の朝夕に雲海が見られるのをご存じですか? 君津市にある標高379mの鹿野山の眼前に広がる九十九谷(くじゅうくたに)は山間に霧が広がり、雲海のようにみえる人気スポットです。

 私が訪れた朝も10人ほどの人が、九十九谷展望公園や隣接する鹿野山九十九谷展望広場でカメラを構えました。

 地元カメラマンの秋吉康吉さんの話では、雲海撮影は雨上がりで冷え込んだ日がおすすめとのこと。残念ながら、この日の「雲海」はベストではありませんでした。それでも山の峰と谷が幾重にも連なる房総丘陵が、青一色から水墨画のような景色へと刻々と表情を変えるさまに息をのみました。聞こえるのは鳥の声、シャッター音、そして時折上空を通過する飛行機の音のみ。雄大な景色と静寂とのコントラストに別世界へ迷い込んだような気分で、いつまでも眺めていたくなります。

 明治・大正期の詩人・随筆家の大町桂月が「一種パノラマ的風景として、天下にその類ひ稀(まれ)なるが、われ此處に日の出を見て、其美觀に驚きぬ。月の出を見て、又其美觀に驚きぬ」と記し、日本画の巨匠東山魁夷はここでの写生をもとに出世作「残照」を描きました。九十九谷は今も人々を魅了しています。

<プロフィル>

 さわの・ゆき 日本道路交通情報センターを経てbayfm情報アナウンサー。トレイルランニング&大会MCは12年目。

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