外国人観光客1・5倍の298万人に 来年の神奈川訪問目標 三崎、大山、大磯…新たな魅力発信へ

2017.11.30 11:46

 神奈川県は県観光振興計画(平成28~30年)における30年の外国人観光客の県内訪問者数について、従来目標の約1・5倍にあたる298万人に上方修正すると発表した。当初予測を上回る勢いで訪日観光客が増えている現状を踏まえたもの。一方で、県内への訪問率が低下していることから、さらなる誘客と受け入れ態勢の強化を図る方針だ。

 28年3月に策定した同計画では、29年の外国人観光客の県内訪問者数の目標を192万人、30年に201万人と設定。その後、中国をはじめアジアからの旅行者に対するビザ発給要件の緩和などが引き金となって訪日外国人が急増。28年に231万人となるなど、すでに目標を上回ったことから、3カ年計画の中間年にあたる今年、見直し作業を行っていた。

観光資源の発掘を

 一方、地方空港への格安航空会社(LCC)の路線拡充や外国人観光客のリピーター化によって訪問地が全国各地に分散した。その結果、24年には12・7%だった県内訪問率は27年には11・3%になり、28年には9・6%になるなど低下傾向が続いている。

 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪・パラリンピック開催を前に県は観光戦略のさらなる充実を図る必要があるとして、計画の見直しを行うとともに、観光資源の発掘や受け入れ態勢の整備などを目指す方針だ。

 具体的には、横浜、鎌倉、箱根に次ぐ新たな観光地づくりとして、三崎や大山、大磯地域についての魅力発信を強化する。また、体験型ツアーの促進や県が推進する「未病」や「ロボット」をテーマとしたツアーの商品化を目指す。

リムジンバス増強も

 その一環として海外メディアや旅行会社の招聘(しょうへい)者数を28年度の56社から30年度には104社に引き上げる計画だ。この他、SNS(会員制交流サイト)を活用した観光情報の発信や観光ボランティアの育成、無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」環境の整備などに取り組む。

 受け入れ環境の整備に向け、補助金を活用したホテル誘致や民泊推進、羽田空港から県内各観光地を結ぶリムジンバスの増強などにも取り組む。

 県観光企画課では「外国人観光客に対する魅力発信について議論を深める必要がある。受け入れ態勢強化などを通じて、訪問率の低下に歯止めをかけていきたい」としている。

■外国人旅行者の訪問率  主要な国際空港や港で来日していた外国人旅行者に、どの都道府県に立ち寄ったかを聞いて集計した都道府県別の数値のこと。観光客だけでなくビジネスでの来日など、対象はさまざまだが、平成28年の本県の訪問率9・6%という結果は、来日外国人100人のうち9・6人が本県に立ち寄ったという意味となる。

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