史上初 100%高崎オールロケ映画が撮影スタート 青春群像描く 群馬

2017.12.7 13:43

 群馬県高崎市を舞台に、若手の監督や俳優でつくる長編の青春映画「高崎グラフィティ。」の撮影が同市内で始まった。映像コンテストのグランプリ受賞作を映画として完成させるもので、全編にわたり市内でロケを実施。来年の高崎映画祭でのプレミア上映を目指す。100%高崎ロケの作品は史上初といい、全国の映画ファンに高崎をアピールするきっかけになりそうだ。(椎名高志、写真も)

 映画は、市内にある高校の卒業式当日からの2日間を描く。将来に漠然とした期待や不安を抱えながら新生活を待っていた幼なじみの男女5人がさまざまなトラブルに襲われる中、それぞれ自分について考え始め、それぞれの道へ歩き出す-というストーリーだ。

 通常の映画は、本編の宣伝のために予告編が作られるが、この映画は予告編のほうが先に生まれた異色作だ。

 誕生のきっかけは、映像制作会社オフィスクレッシェンド(東京都)が、次代を担うクリエーターの発掘・育成を目的に昨年創設した映像コンテスト「未完成映画予告編大賞」だった。

 これから撮りたい映画のプレゼンテーション用の3分以内の予告編映像で、特定の地域を舞台にするというのが応募条件。285点の中から選ばれた初代グランプリ受賞作品が映画のベースになっている。

 撮影担当の武井俊幸さん(26)は高崎出身。武井さんに案内され、撮影の下調べに高崎を訪れた大学の同期生の川島直人監督(27)が「空気感がフィットし、ここで物語を作りたい」と、ひらめいたという。

 本編を完成させるため、オフィスクレッシェンドは3千万円を資金提供。高崎フィルムコミッションも全面バックアップし、ロケは今月3日に始まった。高崎経済大附属高(浜川町)をはじめ、高崎中央銀座商店街(新紺屋町)▽高崎オーパ(八島町)▽高崎アリーナ(下和田町)-など全て市内で行われ、中旬に終了予定だ。

 本編は90~100分になる見込み。予告編のほうは「揺れ動く青春群像を突き抜けた瑞(みず)々(みず)しさで表現した」と高く評価された。

 主演女優の佐藤玲(りょう)さん(25)も武井さん、川島監督の大学の同期生。「高崎はすごく温かくて、やさしい場所。がんばっていきたい」と意気込む。どんな傑作が生まれるのか、楽しみだ。

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