「ネット通販コンシェルジュ」の凄い威力 節約の強い味方に サービスなおも進化中

2018.1.20 16:05

 物価がじわじわと上昇している。その上、新たな税金まで導入される。2019年1月7日から新設される国際観光旅客税は、海外へ出国する度に一人1000円が徴収される。24年度から森林環境税は、住民税に上乗せして年間1000円徴収されることが決まっている。そして来年10月には、消費税が10%に増税される予定だ。

 収入は一向に増えないが、支出ばかりが増えていく。そんな不満をお持ちの方も多いだろう。こうなれば少しでも節約をして、支出を減らしたいと思うのが道理。かくいう筆者もその一人。ふだんの買い物はスーパーのポイント倍増日にまとめ買いをして、クレジットカードで払う。ささやかな工夫だが、こうするとカードのポイントも貯まるのである。

▽最安値のショップに誘導

 食品や日用品を優待品にしている企業の株を購入するという手もある。20万円以下の少額で買える株も多いので、余裕のある方は試してみてもいいだろう。

 最近は日用品をネット通販で購入するケースが増えているが、価格比較サイト「価格.com」などで最安値を検索している方も少なくないだろう。家電のような高額商品はいいけれど、日常の買い物で、その都度、検索するのは少し面倒だ。そんな中、自動で最安値を表示してくれるサービスが人気を集めている。

 「スマートショッピング(Smart Shopping)」は、食品、日用品を合わせて30万点を扱うネット通販のポータルサイトだ。アマゾンやイトーヨーカドー、西友、ヨドバシカメラなどの大手通販サイトに対応しており、登録をしておくと、自動的に送料やポイント、消費税込みで最安値を表示してくれる。購入したければ、クリックをするだけで、最安値のショップに移動して購入。あとは自宅に届くのを待つだけである。

 よく利用されているのは、ミネラルウォーターやビール、ジュースなどのドリング類。重くてかさばる商品なので、ネットで購入する人が多い。また、ティッシュペーパーやオムツ、シャンプー、化粧品など、毎日使う日用品も利用に最適だ。

▽「労働としての買い物」をもっと便利に

 サイトでは定期的に買う商品を「お気に入り」として登録できるので、検索で迷うことはない。購入履歴から自動的に予想残量を把握し、残量が10%になるとメールで知らせてくれる機能も付いている。

 「毎日の買い物を便利にする究極のコンシェルジュを目指しました」と話すのは、このサービスを立ち上げた株式会社スマートショッピング代表の林英俊さん。外資系企業でコンサルタントとして活動した後、スペインでMBAを取得。12年からアマゾンジャパンでプロダクトマネージャーを務め、起業をした。日本のネット通販の開拓者的存在である。

 「買い物には、2種類あると思っています。自分が好きなものを選ぶ『楽しい買い物』、そして毎日の消耗品などを買う『労働としての買い物』です。後者は、誰でも手間や時間をかけたくない、省力化したいのではないでしょうか。ですから、データを活用すれば、もっと便利にできるのではないかと考えたのです」(林さん)

 「安く、ほしいタイミングで、簡単に」を目指すスマートショッピング。ユーザーからは「1リットル単位で値段を比較しているのでわかりやすい」「必要な頃合いを見計らってメールが届くので、買い忘れることがない」という声が多い。

 ユーザーは30代から40代の主婦層が中心だが、一方で「買い物難民」にも役立っている。買い物難民は、過疎化が進んだ地方だけではなく、実は都市部にも多いのが実態だ。近所のスーパーが閉店したり、身体が不自由で外出できないケースも少なくない。そんな人にとって、必要な食品や日用品が自宅に届くサービスは、大いに重宝されている。

▽ネットを使わずに利用できるサービスも開発

 林さんは「例えば、身体の不自由なお年寄りの場合、たいていはお子さんが買い物を代行しています。自分の時間を割いて看護や介護にあたり、買い物までしなくてはならない。貴重な時間を買い物ではなく、もっと親子のコミュニケーションに使ってほしいと思っています」と話す。

 そう考えている林さんは今、買い物専用のIoT(モノのインターネット)デバイスを開発している。米や調味料、オムツなど必要な物をデバイスに置いておくだけで残量を測定し、自動的に発注する機器である。今年の夏には実用化の予定だ。また、将来的には個人宅だけでなく、企業や団体のオフィスの必需品も自動で買えるシステムを構築していきたいという。

 「日本の小売業市場は、約140兆円(16年)ですが、その半数以上が食品と日用品です。大規模マーケットなのに、なかなかネット利用が進んでいないのが実情。これから大きな可能性のある分野だと考えています」(林さん)

 紹介したサービスの他にも、ワケありの食品を格安で販売する「クラダシ(※紹介した記事はこちら)」や「オタメシ」というサイトもある。ちょっとした工夫で節約できることは多い。家計の防衛策として、お得なネット通販を一度試してみてはいかがだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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