工業高生徒が3Dプリンターでジオラマ作製 長野盲学校に教材として寄贈

2018.3.14 17:13

 県立長野工業高校(長野市)の生徒らが、長野駅構内の道順などを視覚障害者に覚えてもらうため、立体模型(ジオラマ)を3Dプリンターを使って製作した。社会貢献をテーマとする同校の「長光プロジェクト」の一環。模型は長野盲学校に寄贈され、駅の利用に不慣れな小学部の児童が自立して通学するための教材として活用される。(三宅真太郎、写真も)

 長光プロジェクトは、平成28年度に機械科に在籍していた3年生が、市内の小学校や保育園の薄暗い場所を照らそうと、発光ダイオード(LED)の照明装置と発電用の太陽光パネルを設置する作業に取り組んだのが始まり。

 今回のプロジェクトは、機械科3年の丸山颯斗さん(18)と基礎工学科4年の福沢健さん(20)が中心になって進めた。長野盲学校では長野駅を利用する生徒が多く、「駅などにある触地図ではわかりにくい」との声を耳にしたのが、製作するきっかけとなった。

 その後、長野駅を訪れて測量し、図面を作製。3Dプリンターを使って、エスカレーターや階段などの模型を作った。製作期間は半年を超えたという。

 模型は横180センチ、縦90センチで、100分の1のスケール。幅2メートルの自動販売機は、模型では幅2センチになってしまうため、手で触れても自動販売機だと分かるように、あえてペットボトルの形にした。エスカレーターには、凹凸のある矢印を付け、上りと下りの判断を容易にした。

 2層構造でホームも細部まで再現。弱視の人にも見えやすくするため、青色や黄色を多用する配慮も施した。

 駅の出入り口やみどりの窓口などの位置は、信州大の協力を得て、触れると音声ガイドが聞ける41個のスイッチも設けた。音声ガイドができる模型として、特許の出願も行ったという。

 8日には、長野盲学校で模型の贈呈式が行われ、児童・生徒らが実際に触れて体験した。同校によると、これまでは駅に何度も足を運んで歩きながら道順を覚えるしかなかったが、今後は教材として駅の構造を学ぶことができ、安全の向上にもつながるとしている。

 同校の三井芽衣さん(16)は「点字ブロックを通り過ぎると今いる場所が分からなくなることもある。細かいところが再現されているのでとても助かります」と話していた。

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