【著者は語る】ジャーナリスト・大塚英樹氏『確信と覚悟の経営』

2018.11.10 05:00

成長する会社のリーダーに必要な資質とは

 私は、長年にわたり、企業経営の最前線で「社長」という存在をウオッチしてきました。その中で今、大きな変化が起きていることを感じます。

 世上よくいわれるビジネスモデルや経営上の話ではなく、もっと根本的に、社長つまりリーダーの「確信」と「覚悟」というものが問われる場面が増えてきた、と痛感するのです。企業リーダーの「覚悟」は「確信」が前提となり、「確信」があるから「覚悟」することができるのです。

 どんなによい商品、よいビジネスを展開していても、社長の覚悟のない企業は発展・成長しないし、今は好調でもやがて衰退への道をたどっていくことになります。競争が激化し、後発企業が国境を越えてすぐにキャッチアップしてくるからです。

 ビジネスがグローバル化した今、成功に胡坐(あぐら)をかいていられる安泰企業などどこにもない。そんな時代における社長の「覚悟」とはいったい何なのか。私は、7つあると考えています。

 (1)常に社員から見られているという「覚悟」(2)顔の見える社長であり続ける「覚悟」(3)成功体験を否定する「覚悟」(4)不祥事に相対する「覚悟」(5)真の現場主義を実現する「覚悟」(6)自分がこの会社をどうしたいのかを示す「覚悟」(7)恒常的に利益を上げ、社会貢献する「覚悟」。

 今、社長に必要な覚悟はこの7つに集約されると考えます。現在、課長以上の人は全て未来の社長候補です。自らも構成員の一員である会社の社長を、お客さまのように外部の目線で判断し、評論しているだけでよいはずがない。自分自身がやがてその立場になったとき、7つの覚悟を持って経営にあたれるかどうか。そういう意識で、今日この瞬間に挑んでいるか-。

 私は、こういう意識で組織を変革できる社員を「No.2」と呼んでいますが、社長から社員まで、そんな成長と改革への欲求を持った会社は強い。成長する会社とそうでない会社を分ける大きな分岐点がそこにあります。

 本書では16人の社長の「覚悟」に迫っています。そして、その社長の覚悟の下、本書で見るような革新・改革・変化・挑戦を実現すべく汗を流すのは一人一人の社員です。16社の苦闘の中に、読者が目指すべき未来を感じてくれたとすれば筆者として望外の喜びです。(1728円、さくら舎)

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【プロフィル】大塚英樹

 おおつか・ひでき 1950年、兵庫県に生まれる。TVディレクター、ニューヨークの雑誌スタッフライターを経て83年に独立してフリーとなる。国際経済を中心に、政治社会問題などの分野で幅広く活躍する。これまで500人以上の経営者にインタビューし、特にダイエーの創業者・中内功氏には83年の出会いからその死まで密着を続けた。

 著書には『流通王-中内功とは何者だったのか』『会社の命運はトップの胆力で決まる』(以上、講談社)、『続く会社、続かない会社はNo.2で決まる』(講談社+アルファ新書)、『「使命感」が人を動かす』(集英社インターナショナル)、『社長の危機突破法』(さくら舎)などがある。

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