【節約家計簿】「浸水対策には責任ない」 マンション管理の“穴”が台風被害で露呈

2019.10.28 08:30

 台風19号の豪雨で、武蔵小杉のタワーマンションが、停電・断水になったことがニュースで取り上げられました。浸水で地下にある電気系統が動かなくなったことが原因でした。

 気になったのは、管理会社による住民説明会が行われた際に、「管理会社には責任がない」という報道がみられたことです。分譲マンションの管理会社は、マンションの住民によって組織される管理組合から定期的な清掃や点検などの管理業務を委託されているだけで、浸水などの責任を負う立場にはありません。専門家によれば、地下への浸水を食い止めるためには、止水板や土嚢(どのう)を置くなどの対策が考えられるということですが、この作業は突発的で判断を要するものなので、従来の管理業務には入っていないと思われます。

 後付けになりますが、住民がもし、「台風が来る前に、浸水に備えて止水板や土嚢を置かなければならない」と考えたら、管理組合(理事会)が事前に管理会社に追加業務として依頼するか、住民自らがその作業をしなければなりませんでした。その際には、数千円~数十万円する止水板を選んで業者に設置を依頼したり、50枚で2000円ほどの土嚢袋を適宜買って土を詰める作業をする必要があり、その際の費用支出の判断を理事会でする必要が出てきます。そう考えると、日頃から災害時の対策を話し合って準備しておかないと間に合いません。

 しかし、マンションに住んでいると、「お金を出して管理してもらっている」という意識が強いため、なかなか自主的に管理を考えることが難しくなります。

 分譲マンションは、購入した段階で管理の責任は管理組合(住民)が持つことになります。今回の被害から学ぶことは、マンションであっても、住民が自主的に災害対策を考え、行動することが必要だということです。(マネーライター 生島典子)

閉じる