PISA調査 日本の読解力低迷、読書習慣の減少も影響か

2019.12.3 18:30

 3日に公表された国際学習到達度調査(PISA)で、日本の高校生の読解力低下が浮き彫りになった。文部科学省によれば、パソコンを使ったコンピューター形式のテスト形式に不慣れなことや、記述式の問題を苦手としていることなどが要因として考えられるという。ただ、本や新聞などをよく読む生徒の方が平均点は高く、読解力低下の結果には、読書量の減少も影響しているようだ。

 日本の読解力の順位は、前々回の2012年調査では過去最高の4位だったが、前回の15年は8位、今回は15位と急落した。

 文科省によれば、小6と中3を対象に毎年実施している全国学力テストなどでは、特に学力低下の傾向はみられないといい、同省担当者は「今回のPISAで読解力がなぜ低下しているのか要因を特定するのは難しい」と話す。

 考えられる一つは、15年から導入されたパソコンを使ったテスト形式に不慣れなこと。日本の生徒は紙の筆記テストに慣れ、ポイントとなる部分に線を引くなどして思考を深める傾向があるため、パソコンではそれができず、戸惑うケースが多かったとみられる。

 また、インターネットのサイトから必要な情報を探し出したり、情報の信憑性を見極めて対処法などを自由に記述させたりする問題の正答率が低かった。日本では選択式問題のテストが多く、記述式が苦手な生徒が多いと指摘されてきたが、PISAでもそれが浮き彫りになった格好だ。

 また、読書習慣のある生徒の方が平均点が高いことも分かった。小説などを月数回以上読む生徒の平均点は531点で、読まない生徒より45点高かった。新聞を同頻度で読む生徒の平均点も、そうでない生徒より33点高かった。

 テスト以外にもアンケート調査が行われたが、活字離れが進んでいる実情も明らかになった。日本の場合、新聞を月数回以上読む割合は21・5%で、9年前の09年調査に比べ36・0ポイント減少。雑誌を読む割合も30・8%で、33・8ポイント減少した。

 

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