悶々(もんもん)とした思いを抱えながら、5、6人の母親グループに話を聴いた。WVは、地域開発支援の一環として行政機関と連携し、コミュニティーの女性たちを対象に子供の健康についての研修などを実施している。彼女たちは、これまでどんな活動をしてきたか、これから何をしていきたいか、話は止まらなかった。私は「どの国でも、女性たちはおしゃべり好きなんだな」とのんきに考えていたが、現地スタッフが教えてくれた。「自分たちが初めてここに来た時、彼女たちは質問に何も答えられなかった。何回もミーティングや研修をしているうちに、少しずつ話せるようになったんだ」
この言葉を聴いた時、私たちがなすべきことが分かったような気がした。コミュニティーの人々や子供たちが、自分の持つ可能性に気付き、発揮できるような機会を提供すること。コミュニティーの課題に中心となって取り組んでいけるように側で支え、一緒に歩いて行くこと。そしていつか彼らが一人で歩けるようになったら、そっと側を離れることではないか、と。
地域開発支援は2026年まで17年の長期間にわたって行われる。この期間に成長する一人でも多くの子供たちが、支援を通じて少しでも生活環境が改善され、多くの可能性を伸ばし、一つでも多くの人生の選択肢を持つことができれば、小さな変化の積み重ねがきっと未来につながっていく。彼らには、その力があるのだから。