≪富士吉田市歴史民俗博物館の学芸員 布施光敏さん≫
「素晴らしい情景と、私たちが培ってきた富士山信仰の歴史が評価されたと思っています」と、誇らしげに話すのは、富士吉田市歴史民俗博物館の学芸員、布施光敏さん(45)。
この博物館は、富士吉田市の歴史や伝統文化、産業などの資料を展示している。なかでも、メーンになっているのが、「富士山信仰」に関する展示だ。
「今回の世界遺産の登録では、(ユネスコの諮問機関の一つである)イコモスの委員に、富士山の魅力、特に信仰の対象としての価値をいかに伝えるかが、一番重要な点だった」と、布施さんは振り返る。
富士登山についても、「登ることも目的の一つですが、富士山という神仏にお参りをすることが本来の目的なんです」と強調する。
現在も白装束を着た「富士講」の信仰登山者は少なくない。富士講は主に江戸時代の後半に組織された信仰団体だ。富士山に登ることは、神や仏のいる清浄な世界に旅立つことを意味するとされ、身を清めるため、白装束を身に付けるという。富士山は今も信仰の対象であり続けている。