プログラムにはベートーベン、シューマン、ブラームス、ドボルザーク、ドホナーニ、ポッパー、ブリッジと18世紀から20世紀にかけて活躍した作曲家が並ぶ。ドイツ、チェコ、ハンガリー、英国と出自もさまざまだが、どれも私淑、師弟、共演と精神的に固く結ばれながら大山さんの師へと伝承され、ネクサス・ホールに響いた音楽と一本の線でつながっている。
先人が新しい才能を見いだし、手をさしのべ、新しい世界が生み出されていく。その営みは、若き日のピカソやストラビンスキー、コクトーを支援し、世に送り出したシャネルの創始者、ココ・シャネルの精神と響き合うかのようだ。
≪新しい力で新たな感動を≫
「若い演奏家とともに考え、演奏して、音楽の本流を追い求めています。若い音楽家に何かを与えるのではなく、彼らが何を考え、何をなそうとしているかについて、いつも期待を膨らませています。彼らがどのような世界を目指しているかに触れることで、たくさんのことを教えられ、目を開かされます。新しい力を得ながら音楽の新たな感動を生み出したいと願っています」(谷口康雄/SANKEI EXPRESS)