しかし、中国が防空圏設定を公表した11月23日、総統府直轄の安全保障政策決定機関、国家安全会議は次のような4項目の声明を発表していた。
(1)中国の防空圏設定は台湾の尖閣への領有権主張に影響せず、引き続き漁業者の権益を守る(2)争議棚上げなどを柱とする馬総統提唱の「東シナ海平和イニシアチブ」に従い、国際法の順守や対話の呼びかけで地域の緊張を抑制する(3)一部が台湾の防空圏とも重複するが軍は平和的かつ適切に処置し、自空域の安全を確保する(4)今後の情勢に強い関心で注視し、関係各国・方面と連携、対話を密にし地域の平和と安定を確保する-だ。
馬総統は挨拶で中国から「事前に相談がなかった」と指摘しつつも、関係各国・方面が迅速に中国と対話し「東シナ海を平和と協力の海に戻すべきだ」などと語り、(11月)23日の声明の4項目を繰り返し強調した。
「過剰配慮」に野党反発
馬総統自ら台湾の姿勢を強調してみせた背景には、(11月)23日以降、「安全のため」として交通部(交通省に相当)が中国側の要求に従い、民間機に飛行計画の提出を指導するなど、対中慎重姿勢に野党などの強い反発が生じていたことがあげられる。