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【軍事情勢】特攻が映し出す「自己犠牲」と「赦し」 (4/5ページ)

2013.12.8 00:10

 宮川少尉ら特攻隊員は、知覧基地(鹿児島県)近くの、「特攻の母」と慕う鳥濱(はま)トメさん(1902~92年)経営の富屋食堂に通い、「母」に甘えることでいっときの安らぎを得た。20歳の誕生日を迎えた少尉は、翌朝の出撃を前に別れを告げに食堂に行く。食糧不足にあって精いっぱいもてなしたトメさんに、少尉は「明夜9時、2匹の蛍(ホタル)となって還(かえ)る」と約束した。もう「1匹」が滝本恵之助伍長。2人はいつも連れ立っていた。前任の特攻基地が同じだったからだけではない。共に、悪天候か機体不良で引き返してきた「負い目」を感じていた。

 強者も弱者も苦しむ

 翌夕、滝本伍長は蛍ではなく生身で、食堂に姿を現した。寡黙だった伍長の口は一層重く、かろうじて始めた説明によると、出撃時は山容すら見えぬ豪雨。沖縄海域まで飛ぶのは不可能だと判断し「帰還」の合図を繰り返したが、少尉は応じなかった、という。伍長は暗い座敷の一隅で、焼酎をあおった。

 約束の時間。蛍が食堂に舞い込んだ。伍長は「次こそは自分も行きます」と絶叫した。

踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。痛さを分つため(私はこの世に生まれ)、十字架を背負ったのだ

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