厚労省が過労死の認定基準としている時間外労働月100時間を超えて働いた人がいるのは730に上った。厚労省は、長時間労働を減らし産業医の面接を受けさせるよう事業所を指導していく。
業種別では、監督を実施した事業所のうち違反割合が最も高かったのは、飲食などの接客娯楽業で87.9%。次いで運輸交通業が85.5%、病院などの保健衛生業が83.6%で続いた。法令違反のうち、違法な時間外労働は運輸交通業、残業代不払いは接客娯楽業と建設業が最も多かった。
監督実施に先立ち、厚労省は9月1日に全国で電話相談を受け付け、寄せられた情報や過去の違反歴、離職率の高さを基に対象を選定。当初は企業・事業所を4000程度と見込んでいたが、問題事業所の掘り起こしが予想以上に進み、最終的に5000を超えた。
≪調査に限界 本当の「ブラック企業」たどり着けず≫
監督結果を公表した厚生労働省。ブラック企業への社会的関心は高く、厚労省は対策を続ける方針だが、最前線で違反を取り締まる労働基準監督官の数は少なく、権限も限られる。現場の監督官からは「本当に悪質な企業はまだ多数あるが、たどり着けていない」との声が漏れる。