「支えてくれた方々に感謝して滑りました。この演技ができてよかった」
小学校6年のときに初めて出会い、「すっかり長いお付き合い」という長久保裕コーチとリンクサイドでしっかりと抱き合った。「お前の演技で初めて泣けたよ」と声をかけられると、「『やった!』って思いました」と、笑顔が弾けた。
現役最後と決めた28歳で迎えた五輪シーズン。15歳で初出場した全日本はこれで13回目。4年前は2位でバンクーバー五輪代表の座を射止め、昨年は4位に沈み、滑りを見直す契機になった。そして、最後の全日本で、「今季初めて満足できる滑りができて、本当に幸せ」という瞬間を味わった。
母の支えに感謝
この日は、これまでほとんど試合会場に姿を見せることがなった母のケイ子さん(63)が、愛知県豊橋市内で営む飲食店を休んで駆けつけた。「最後の全日本なので。長く続けてくれて楽しませてもらいました」と、リンクで舞う娘の姿を胸に刻み込んだ。
地元を離れ、仙台市の東北福祉大学に進学した10年前の夏、摂食障害になった。その時、支えてくれたのが母だった。