大会開催には巨額の資金が必要となるため、JOCの竹田恒和(つねかず)会長(66)はトップに財界人の起用を目指したが、候補者を説得できず実現しなかった。事務総長の人選は、森氏の意向が強く反映されたとみられ「政府関係者一色になる事態は避けたい」(JOC幹部)との不安が現実になった。
東京都は、徳洲会(とくしゅうかい)グループからの5000万円受領問題で、五輪招致の旗振り役だった猪瀬直樹知事(67)が辞職してトップ不在に陥ったことで、一気に発言力が低下。都幹部を「知事がいないのは、やはりつらい」と嘆かせた。「組織委がこういう体制になったのも、猪瀬知事の辞任と無関係ではない」との声も聞かれる。
五輪招致成功の鍵は政財官にスポーツ界が一体となった「オールジャパン体制」の構築にあったとされるが、早くも不協和音が漏れる。JOC関係者は「この体制では、政府の思惑通りに進められてしまうのではないか。大会運営で最も大事なスポーツ現場の目線が反映されるのか心配だ」と気をもんでいる。(SANKEI EXPRESS)