【アメリカを読む】
「激しい日々だった。これ以上ないリスクを抱えていた。ただ職務に集中するのが私という人間の特質だ。どう対処すべきか神経を研ぎ澄ませていた」
言葉とは裏腹に、どこか和らいだ横顔が印象的だった。米有力シンクタンクのブルッキングス研究所で1月16日、対談に臨んだベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長(60)。FRB議長としては最後となった公式の場で、その全身からは大仕事をやり終えた充足感がにじみ出ていた。
サブプライム問題が直撃
バーナンキ議長は今月(1月)限りで2期8年の任期を満了し、退任する。異例の量的金融緩和策を主導し、空前の金融危機を乗り切って米景気を回復軌道に戻した手腕に改めて高い評価が寄せられている。一方で、金融政策の正常化という「出口戦略」は緒に就いたばかりで、多くの課題が積み残された。