種族を超えた固い結びつきが、いかんなく表現されていて、犬好きにはたまりません。もちろん、一つのきっかけで小さな疑問がとけ、それを足がかりに徐々に謎の真相に近づいていくといった、ミステリーの流れそのものもしっかりしており、十分に楽しめるものです。
ミステリーファン、犬が好きな方、バディものがお好みの方に、ぜひ試していただきたいシリーズです。(作家 乾ルカ、写真も/SANKEI EXPRESS)
■いぬい・るか 1970年、札幌市生まれ。銀行員などを経て、2006年『夏光』で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。10年、『あの日にかえりたい』で第143回直木賞候補、『メグル』で第13回大藪春彦賞候補となる。12年、『てふてふ荘へようこそ』がNHKBSプレミアムでドラマ化された。近刊に『たったひとり』。ホラー・ファンタジー界の旗手として注目されている。札幌市在住。
「パーフェクト・ブルー」(宮部みゆき著/創元推理文庫、680円)
「ぼくの名はチェット」(スペンサー・クイン著、古草秀子訳/東京創元社、1785円)