【佐藤優の地球を斬る】
外務省飯倉公館(東京都港区麻布台)で1月31日、平和条約問題に関する日露次官級協議が行われた。日露平和条約交渉の核となるのが北方四島(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)の帰属に関する問題であるので、平和条約交渉と北方領土交渉は同義と考えてよい。「領土交渉」という言葉が、ロシア世論を刺激することを避けるために、あえて平和条約交渉と表現することが多い。
首脳決断へ準備進む
杉山晋輔外務審議官とロシアのモルグロフ次官は、当初予定よりを1時間半程度上回る約9時間協議した。次官級協議は昨年(2013年)8月以来、2回目である。今回の次官級協議に関しては、情報管理が徹底されており、交渉の内容については、マスメディアにまったく情報が漏れてこない。
もっとも情報というのは、必要なところには然るべく流れる。筆者が側聞したところでは今回、ロシアは歴史的、法的な新たな問題をいくつも提起して、日本側が一つ一つそれに答えていったとのことだ。ロシア側が「参りました」といって、自らの主張を撤回することもなかったが、日本側が論破されることもなかった。議論はまだ尽くされておらず、少なくともあと1回の協議を行う必要があるという。