「目標となる存在」に
その強さを解き明かす鍵があります。日本のエースへと成長していた、06年トリノ五輪シーズンのころのことです。大ちゃんが全日本選手権の翌日のエキシビションの練習で、ジャンプをほとんどやっていなかったことがありました。
私が「練習してないけど、本番は大丈夫なの」と心配して声をかけると、「大丈夫だよ」と平然と話していました。「あっ、この人は練習を詰め込まなくても、試合でできる自信を身につけたんだな」と、この時に分かりました。実際、本番では失敗しませんでした。
3大会連続となるソチ五輪代表に選ばれた今の大ちゃんを表現する言葉があるとすれば、まさしくエースですね。バンクーバーで日本男子史上初の銅メダルを獲得し、直後の世界選手権でも優勝を果たしました。昨季のグランプリファイナルも日本人初制覇。随分と遠くにいってしまったように感じたりもしますが、同じ時代に戦ってきただけにうれしい気持ちでいっぱいです。