ソチ五輪第5日の2月11日行われた新種目のノルディックスキー・ジャンプ女子で、金メダルの本命とみられていた高梨沙羅(クラレ)は100メートル、98.5メートルの合計243.0点で4位入賞にとどまった。今季のワールドカップ(W杯)13戦10勝を挙げ、初の五輪に臨んだ17歳の天才少女は、ソチの地で実力を出せず失速した。冬季五輪初代女王にはW杯未勝利で22歳のカリーナ・フォクト(ドイツ)が輝いた。
「すごくいい経験」
「自分ではいつもと同じような気持ちで臨んだつもりだった。思い通りに飛べなかったのはメンタルの弱さ」。試合後、しっかりした口調で語りながら、今にも泣き出しそうな表情が、小さな体にのしかかった重圧を物語った。
2回とも本来のジャンプには程遠く、後半の伸びを欠いた。1回目は持ち味の低く鋭い飛び出しができず、上体が前方に突っ込み気味になった。最も強い追い風を受けながら、何とかK点を5メートル越えて3位につけた。この時点で1位のフォクトと2.7点差。飛距離に換算して約1.5メートルと、高梨にすれば十分に逆転可能だった。