【アートクルーズ】
春の日差しが暖かさを増す中、開館45周年を迎えている「彫刻の森美術館」ギャラリーで、3月22日から、現代美術作家8人による作品展「ミーツ・アート 森の玉手箱」が開かれる。開放的で分かりやすい野外彫刻の眺めとは異なり、閉ざされた空間の中に、映像やパフォーマンス、体験アートなど刺激的で、示唆に富んだ作品が並ぶ。“玉手箱”から出てきたあなたは、美術を見る目が、まったく変わっているかもしれない。
人間の本質を考えさせる
急ピッチで進む制作現場を訪ねた。出品者の一人、木村幸恵さん(38)は、暗い天井から、透明な糸やラップで作られた不思議な像をつり下げていた。それは浮遊する魂のよう。
木村さんには、人間に対する基本的な考え方がある。「私は、人間は知覚や記憶、情報の液体にいつも浸されていて、そういったものとの関係が生まれたときに、存在すると思う。それを表現したい」
半透明で不確かな像は木村さんの“自画像”であり、他者から見られている像でもあるという。人間の本質、実存とは何か、を考えさせる作品だ。