前回の消費税増税時、緊縮財政で回復しかけていた景気を圧殺した。今回、大型補正を合わせた15カ月予算ベースでみると、来年度の公共事業予算は今年度を3兆円程度も下回る緊縮だ。前倒し、集中発注というカンフル注射での好況はしょせん、つかの間でしかない。
持続的賃上げが鍵
ここで、アベノミクスの原点に立ち返ってみよう。
物価下落を数倍も上回る速度で賃金が下落する日本型慢性デフレは消費者の購買意欲を萎縮させてきた。悪循環から抜け出すためには、持続的な賃上げ期待で消費者が「明日はもっとよくなる」と思うようになることが必要だ。その点、今春闘で大手各社が賃上げに応じたので、「景気の好循環が明らかに生まれ始めた」(安倍晋三首相)と期待できる。賃上げ率は低く、物足りないが、浜田宏一内閣参与(エール大学名誉教授)は若者向けの「産経志塾」講座で、「賃上げの幅よりも、来年以降も続くことがより重要です」と述べた。持続性こそが鍵になるとの見立てだ。