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島民としていつかは描かねばならない題材 映画「チスル」 オ・ミヨル監督に聞く

2014.4.11 15:10

韓国・済州島出身のオ・ミヨル監督=2014年2月27日、東京都渋谷区(野村成次撮影)

韓国・済州島出身のオ・ミヨル監督=2014年2月27日、東京都渋谷区(野村成次撮影)【拡大】

  • 韓国・済州島

 1948年4月3日、米国主導で進められていた南朝鮮単独での総選挙に反発、武装蜂起した済州島の島民に対し、軍が鎮圧に乗り出し、その後の7年余りで約3万人の犠牲者が出た。島出身のオ・ミヨル監督(42)は新作「チスル」でこの「済州島4・3事件」を初めて劇映画化し、島民や軍人の苦悩をモノクロ映像で叙情的に描ききった。

 「島では近年まで事件を口に出すことすらタブーとされ、語ればたちまち『(共産党や外国の)スパイ』との烙印(らくいん)が押されました。私は歴史の掘り起こしなど何の関心もなかったのですが、島民としていつかは描かねばならない題材だろうとは考えていました」。オ監督は映画化の理由を語った。

 「海岸線から5キロを超えて内陸にいる者は全員射殺する」。建国間もない48年10月、軍の通達に驚いた島民たちは、洞窟などに逃げ込み…。

 チスルは韓国語でジャガイモの意味だそうだ。オ監督は「戦時中に口にする韓国の代表的なソウルフードです。漢字では地実と書きます。チスルはこの時代を象徴する食べ物なので、映画のタイトルにしました」と説明した。

 島民はなぜ事件に頬かぶりを決め込んだのか。「口外を望まない国家権力が島民に圧力をかけたからです」とオ監督。サンダンス映画祭の「ワールドシネマ・グランプリ」を手にしたことで、世界史的な視点から事件を論じてもらえるようになったと、胸を躍らせている。公開中。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

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