マウントゴックス社の説明では、ハッカーが顧客になりすまし、取引所のシステムに偽の取引記録を示すことで、ビットコインを不正に引き出したとしている。
マウントゴックス社は「被害者」の立場を強調するが、その説明に疑問符を付ける専門家も少なくない。
スイス・チューリヒ工科大学のIT研究者は、公開されている全てのビットコインの取引記録を分析。3月26日に「マウントゴックス社がシステム上の不備で失ったのは386BTCにすぎない」とする論文を発表し、「残る84万9600BTCがどこに消えたかの説明が必要だ」と求める。
日米の裁判所の記録では、米国にあるマウントゴックス社の関連会社が米政府に500万ドルを差し押さえられたほか、提携を模索した米国の取引先に500万ドルの返還を求めて係争中であるなど、現金トラブルを抱えていたことも判明した。
ロイター通信によると、マウントゴックス社内で2012年ごろ、会社の事業資金と顧客からの預かり金を区別せずに管理していることが問題になったが、カルプレス社長が改善しなかったとされる。このため、盗まれたとされる28億円は預かり金を事業資金に流用した可能性も浮上している。