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イスラエルとの関係改善・強化に手応え

2014.5.20 15:55

  • イスラエル・首都エルサレム
  • 作家、元外務省主任分析官、佐藤優(まさる)氏(共同)

 【佐藤優の地球を斬る】

 イスラエルは中東において、自由、民主主義、市場経済という米国や日本と同じ価値観を共有する数少ない国家である。1973年の第四次中東戦争(イスラエルの呼び方では「ヨム・キプール戦争」)で生じた石油危機(第一次オイルショック)のために、日本は親アラブ政策を取るようになった。その結果、生じた反イスラエル的傾向が日本政府・外務省の一部に今も存在する。

 画期的な「共同声明」

 筆者が外務省で勤務していたときに、省内の偏見を克服し、ロシア情報分析やインテリジェンスの分野でイスラエルとの関係を強化しようと努力した。この努力の結果が、2002年5月の「鈴木宗男疑惑」の際に筆者を逮捕する口実に使われた。現在では、筆者がいかなる容疑で逮捕されたかについてはほとんど忘れられている。

 容疑は、2000年4月にテルアビブ大学主催の国際学会「東と西の間のロシア」に出席するために袴田茂樹青山学院大学教授(現新潟県立大学教授)、下斗米(しもとまい)伸夫法政大学教授(元朝日新聞客員論説委員)らをイスラエルに派遣するための費用を外務省関連の国際機関「支援委員会」から支出したことが背任に問われた。

 この事件後、イスラエルとのインテリジェンス協力は停滞した。作家になってからも、筆者は日本とイスラエルの関係改善に言論を通じて努力してきたつもりだ。ようやく手応えを感じる成果が出た。

 5月12日、東京で安倍晋三首相とイスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相が、「日本・イスラエル間の新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」に署名したからだ。

 ネタニヤフ首相の訪日は6年ぶりで、今回は11~14日まで日本に滞在した。安倍晋三首相とは12日に会談を行った。今回、両首脳が署名した「共同声明」は、日本とイスラエルの関係を飛躍的に発展させる画期的な内容を含んでいる。

 まず「共同声明」では、<双方は、日本の国家安全保障局とイスラエルの国家安全保障会議間の意見交換の開始を歓迎し、イスラエルで次回会合を実施することを確認した>と述べられている。日本政府の諸機関とイスラエルのモサド(諜報特務庁)、アマン(軍事情報部)との間には、長年の交流があるが、今回の「共同声明」により、インテリジェンス面での協力が一層強化されることになる。

 さらに<双方は、サイバーセキュリティーに関する協力の必要性を確認し、両国の関係機関間で対話を行うことへの期待を表明した>と明記されている。サイバー技術に関して、イスラエルは防御と攻撃の両面において、世界最先端の能力を有している。今後、日本の政府機関にイスラエルのサイバー技術を導入する可能性が生まれた。

 <双方は、両国の防衛協力の重要性を確認し、閣僚級を含む両国の防衛当局間の交流拡大で一致した。双方は、自衛隊幹部のイスラエル訪問で一致した>とも明記されている。具体的にはサイバー兵器、UAV(無人航空機)などで進んでいるイスラエルのノウハウを日本が導入する可能性がある。

 東アジア情勢については、<双方は、厳しさを増す東アジアの安全保障環境について意見交換を行い、アジア・太平洋地域の平和と安定を維持する重要性を確認した。特に双方は、核開発、ミサイル開発、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の早期解決への強い希望を表明した>と記されている。イスラエルは、北朝鮮からイランやシリアに対する核技術や弾道ミサイル技術の移転に関する機微に触れるインテリジェンス情報を大量に保持している。両国のインテリジェンス協力の拡大によって、日本は北朝鮮に関する良質の情報を入手できるようになる。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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