「明日死んでもいいという生き方をしてきた。でも震災が起きて支援をすると決めたら長生きしなきゃと思うようになった」と箭内(やない)道彦さんは冗談めかして笑う。派手な金髪の、当代きってのクリエイティブ・ディレクターの素顔はシャイな東北人そのものだ。
箭内さんが支援活動で大切にしている言葉に“not doing , but being”という言葉がある。無理やり何かしなくても、側にいるだけで大きな力になるという意味だ。
7月6日(日)22:00~放送の『J-WAVE SELECTION Hitachi Systems HEART TO HEART』の取材でも箭内さんの寄り添うスタイルは変わらない。取材相手の話に静かに耳を傾ける。箭内さんのインタビューを見ていると、これまでの取材が震災を伝える側の論理で進めていたと気付かされる。それは同時に、番組が被災された方をどうやったら応援できるのかという問いにも繋がってくる。被災地には言葉では言い表せない壮絶な現実がある。被災された方々のそれぞれの復興という厳しい試合では、決してわれわれは選手にはなれない。なれるのはスタンドで声をからすサポーターだけだ。