審査で最も重視されたのが、地震や津波に対し有効な対策が取られているかだ。
基準地震動(想定される最大の揺れ)の確定では九電と規制委との見解が当初は大きく食い違ったが、2度の修正を経て九電側が620ガルと厳しい基準に歩み寄った。津波に対しても、防潮堤の設置や浸水防止がいかになされているかデータ分析をした上で、「国内のみならず世界で起きた大規模な津波事例を踏まえ、不確かさを考慮して(対策が)行われている」との見解を示した。
さらに問題となったのが火山対策だった。現在の審査申請原発のうち、川内原発は火山の噴火で最もリスクの高い原発と懸念されていたからだ。
審査会合の中で九電は、川内から約50キロ離れた桜島など、敷地から半径160キロにある39カ所の火山が噴火するかどうかの想定データを提示した。巨大噴火は1万年に1回程度と頻度は極度に低いが、火山が噴火すれば原発周囲に火山灰が積もり、火砕流で送電線や注水ポンプなどに影響が出る可能性が考慮された。