【アメリカを読む】
カナダの首都・オタワで7月12日に閉幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合は目立った成果を残すことができなかった。TPP交渉を主導するオバマ米政権は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合までの大筋合意というシナリオを描いているが、実際には米国と各国の間に深い溝が横たわっていることが明らかになった形だ。各国からは米国の強引な交渉手法への不信感も出ており、米国のシナリオは棚上げされた状態といえる。こうした膠着(こうちゃく)状態が長引けば、アジア太平洋地域でのオバマ政権の指導力に疑問符が付きかねないが、米国には中間選挙前の妥協が難しいという現実もある。
裏表のある態度に反発
「困難な問題が少なからず残されている」。首席交渉官会合最終日の12日、日本の鶴岡公二(こうじ)首席交渉官は記者会見で、交渉の先行きに厳しい見方を示した。