ダダダダダッ…と板張りの床を駆け回る靴音が、小気味よく響く。彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)で8月7日から上演の「ロミオとジュリエット」の稽古場。英文豪シェークスピアの青春悲劇を、芸術監督の蜷川幸雄(78)がシェークスピアの時代と同じオール・メール(男性俳優のみ)形式で演出、上演する。7月下旬、稽古場を取材すると、若い俳優たちが剣をかざす輪の中に、汗をしたたかにかいたロミオ役の菅田将暉(すだ・まさき、21)がいた。
2012年のジョナサン・マンビィ演出版ではロミオの親友、マキューシオ役を経験。「いつかロミオ役をやりたいと思っていました。それが念願の蜷川さんの舞台に出る形でかなうとは。うれしかったです」
知的な響きを大切に
イタリア・ヴェローナの名家、モンタギュー家の息子・ロミオと敵対するキャピュレット家のジュリエットのはかない悲恋で知られる戯曲だが、菅田はむしろ、ロミオが仲間たちと生む熱狂的な空気感を大切にしたいと考えている。