僕はのび太そっくり
両監督はドラえもんの大ファンで、子供時代は漫画が掲載された学年誌の発売を心待ちにしていたという。山崎監督は監督デビュー作「ジュブナイル」の登場人物の関係や構成について、ドラえもんの原作漫画を参考に作りかえたほどだ。
一方、単行本が発売された74年、のび太と同じ10歳だった八木監督は「のび太とともに育ってきたようなもの。僕ののんきな性格はのび太とそっくりで、親しみも感じていました」とドラえもんへの愛情を語った。
「STAND BY ME ドラえもん」では、大人になったのび太たちが暮らす21世紀の未来の姿が肯定的に捉えられているのが印象的だ。山崎の思いはこうだ。「僕たちの世代は明るい未来を否定することが格好いいと考えてしまう。(SF映画の金字塔)『ブレードランナー』(82年)がいい例で、未来はデストピア(地獄郷)に結びつけられて描かれてしまう。同時に、今の子供たちは未来をとても暗い時代と考えている節もある。だからわれわれは今こそ『すてきな未来が来るんだぜ』と、嘘であっても言わなければいけないと考えたんですよ」