世界保健機関(WHO)は8月12日までに、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱による死者(疑い例を含む)が4カ国で計1013人に達したと発表した。各国は感染地域に治安部隊を派遣するなど封じ込めに努めているが、過去最悪の感染に歯止めがかかる兆しは見えない。
感染地域諸国の医療制度が非常に脆弱なことが拡大に拍車をかけている。状況改善に向け、国際社会の支援強化が急務になっている。
WHOによると、(8月)9日までに感染が確認されたか疑われる患者は計1848人。うち死者はギニア373人、リベリア323人、シエラレオネ315人、ナイジェリア2人。
日本の国際協力機構(JICA)は12日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国に派遣している日本人スタッフ24人を一時的に退避させることを決めた。
WHOは12日、エボラ出血熱の感染者に、開発段階の未承認治療薬を条件付きで使用することを容認する考えを明らかにした。西アフリカで感染した米国人らに臨床試験を経ていない治療薬が投与され、症状が改善したとも報じられ、感染地域の国から使用を求める声が上がっていた。専門家によると、今回の感染を起こしているウイルスは「ザイール株」とされ、過去の致死率は約80%。死者はさらに増える恐れがある。