世界的な人気作家、村上春樹さん(65)が昨年(2013年)発表し、日本では100万部以上を売ったベストセラー長編「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の英訳版が8月12日、英米で発売された。長年、ノーベル文学賞の候補として名前が挙がるだけに、欧米でも高い人気を誇り、熱狂的なファンが開店前の書店に長い列を作った。もともと米国文学に多大な影響を受けた村上さんだが、欧米メディアは、現実と虚構の世界をふわふわ往来し、挑戦的かつ独自の視点を持った唯一無二の存在感が人気の秘密-と分析している。
過去のどの作家とも異なる
英紙イブニング・スタンダード(電子版)によると、ロンドンのチャリング・クロスにある有名老舗書店フォイルズには12日夜、熱狂的なファン60人が行列を作った。
彼のファンが行列を作ったのは当地で2011年に「1Q84」が発売されて以来だが、行列の先頭にいたマーケティング・マネジャー、アレック・メダニーさん(25)は「彼は私が最も好きな作家。全作品を読んだが、過去に読んだどの作家の作品とも異なっている」とその独自性を強調。「日本に行ったことはないが、(作品を読むと)彼が描く登場人物の頭の中に入り込むような気持ちになる」と作品の魅力を説明した。