【本の話をしよう】
高倉健主演の映画『あなたへ』の小説版などで知られる作家、森沢明夫さん(45)が新刊『癒し屋キリコの約束』を刊行した。謎の女店主を中心に繰り広げる「癒し」の物語を、エンターテインメント作品に仕立てた。
プラス「エンタメ色」
舞台は小さな古い喫茶店。オーナーの四十路美女、有村霧子は、実は心に傷を負った客に救いの手をさしのべる「癒し屋」という裏家業を営んでいた。嫁姑問題に悩む主婦、ストーカーに狙われているキャバクラ嬢、ロックンローラーになる夢を捨てきれない元サラリーマン…。「癒し」を求めてやってくるさまざまな客を、あっと驚くような鮮やかな手法で解決していく。
しっとりとしたヒューマンドラマの書き手というイメージが強かったが、今回は強烈なキャラクターたちが入り乱れ、グイグイ話を引っ張っていくエンタメ作品の王道だ。「今までの『森沢色』に、『エンタメ色』をかなり加えた作品ですね。エンタメとして完成させる上で気を使ったのは、霧子が問題を解決する手法。普通の心理学で解決しても面白くないので…。驚いて、最後はスッキリできる。エンタメ的な物語です」